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入札への参加後も工事の進捗具合によって予定スケジュールが刻々と変わり、その都度起用する船会社や通関部門と作業工程やスケジュールの再調整とまた費用の練り直しが必要であった。

輸送事業者の選定が進みだんだんと候補が絞られていく中で、当社は正確な作業工程の作成とできるだけ競争的な価格設定に努めた結果、最終的にに指名して頂いた。当社が担ったのは、地下の工事現場から作業を終えたシールド掘削機の梱包、再輸出通関申請、そして中国向けの海上輸送である。

各作業ポイントの荷役を考慮してシールド掘削機は最終的に100個近くに分解された。機械自体は過酷な地下工事での使用に耐えうる設計であったため、再輸出荷役では水濡れ防止や振動防止などの条件はなかったが、逆に数年間の地下工事で機械に付着した泥などの汚れが船会社や輸入国・中国からの検疫検査対象となり、十分な洗浄と梱包も適切に密封処理を施す必要があった。

サイズが大きかったためコンテナ船は使用できず、貨物を船室に直接積み込む特殊輸送で、この船積み作業は数時間単位で調整される本船のジャカルタ停泊期間を考慮して船会社や港湾当局との綿密な打ち合わせが不可欠であり、さらに再輸出通関申請は税関からの厳重な監視対象にあるため現物検査を受ける必要があった。

梱包前の税関による貨物現物検査、洗浄、梱包、さらには市内の梱包場所からジャカルタ港へ数十台のトラックによる横持ちなど様々な工程を遅滞なく行うためのスケジュール調整が最も困難であった。

入港予定の一週間ほど前になるとジャカルタの前寄港地インドでの本船状況が伝えられ、いよいよ具体的なジャカルタ港への入港日時の目途がたった。そこから船会社、港湾の荷役事業者、当社通関部門等が集まり当日の荷役について綿密な打ち合わせを行った。

入港当日は船が到着する数時間前からトラックの回送を始め、積み荷作業の開始に備えた。この本船に荷積みされる貨物は当社が取り扱う貨物だけではなく、もし当社の作業が滞れば本船の出港スケジュールにも影響してしまうため遅れは絶対に許されない。

本船からはまずジャカルタへの輸入貨物の荷下ろしが開始され、その数時間後いよいよ当社の荷積み作業が開始。あらかじめ提出していた積荷明細をもとに本船上の作業監督者から地上の我々へトランシーバーで指示を受け、それに従い随時トラックを回送し荷物はどんどん本船へ積み込まれていった。

作業は夜中も止まらず続くため当社チームも交替で現場に張り付き対応。ジャカルタは社会問題になるほど市内の渋滞が酷いが、この影響でトラックの到着が前後することがあり本船側との折衝が難航する場面もあった。12時間以上にもおよんだ船積み作業は最終的に遅れや貨物のダメージを出すことなく無事完了。

船積作業が完了した後発注元のお客様と船内へ一緒に入りほぼ積み込まれた貨物を見た時には、半年以上におよんだプロジェクトが無事終えられたことに安堵し、またお客様からも大きな感謝の言葉をいただき感無量であった。ようやくジャカルタ港から無事に出荷完了した。

当社としては初となる単独での大型プロジエクト貨物の取扱いで途中何度となく困難な課題に直面したが、従業員全員が一丸となってひとつずつ解決して乗り越えることができた。

またジャカルタでは地下鉄二期工事も決まっており、当社は一期工事での取扱い実績をもとに今回も輸送業者の候補として見積もりを提出。インドネシアは国内のインフラ整備がまだまだ盛んであり、今回の経験で得たノウハウをもとに各種大型輸送の取り込みを目指していく。